さて、第2次丹波市総合計画後期基本計画の8つのまちづくり目標を「SDGs」の視点を持ちつつ、読み込みたいと思います。
ちなみに、SDGsでは17のゴールがあります。これらは5つのPでとらえられます。「People(人間)」「Prosperity(繁栄)」「Planet(地球)」「Peace(平和)」「Partnership(連携)」がそれです。
「丹波市総合計画を読み返す」で述べたように、今回の基本計画では、施策目標は32に絞り込まれています。そこでまずは8つのまちづくり目標ごとに、32の施策目標を紹介します。
みんなで支え、育む生涯健康のまち
健康や福祉、子育て支援に関する施策が7つ並びます。SDGsのPeopleに関連するうち最初の3つのゴール「1)貧困をなくそう」「2)飢餓をゼロに」「3)すべての人に健康と福祉を」に深く関係する分野です。
ここに含まれる施策目標は以下の7つです。
- ライフステージに合わせた健康生活習慣
意識啓発やミルネを活用した健診体制、生活習慣病予防などがあげられています。未病の考え方の導入や、新病院周辺の健康モデル地域指定、ウォーキングの推進などは触れてほしいところ。 - 安心して生活できる医療環境
在宅医療サービスの充実や看護人材育成など。Society5.0を前提に、データ活用による医療環境の充実に触れてほしいところ。 - 市民相互が支え合う地域共生社会
包括的な相談体制や地域福祉人材の育成など。社協による「よろずおせっかい相談所」と自治組織の連携が重要になります。本来的には地域包括ケアはここに含むべきもののように思いますが、その視点がありません。 - 高齢者の生きがい
生きがいづくり、地域包括支援センター体制など。前項の地域共生社会の一環とは思いますが、高齢化をふまえて重要だから別項目になっていると考えたらいいのでしょうね。認知症や介護予防的な観点のほか、高齢者活躍の観点もあろうかと思います。別建ての割には内容が薄い気がします。 - 障がい福祉
相談支援や就労支援。これも地域共生社会の一環と思いますが、別建てになっているのは重要性ゆえでしょうか。ロボットを活用した障がい者雇用などユニークな取り組みも始まっているので、そこへのキャッチアップができる体制を作っておく必要を感じます。 - 子育て支援
子育て環境の充実、幼児教育・保育の充実、児童虐待の防止など。最重要と考えます。 - 健康保険や後期高齢者医療、国民年金
制度のことだからでしょう、別建てになっています。わざわざ別にする必要があるのかどうか。
誰もが住みたい快適生活のまち
公共交通や道路、水道や景観など、いわゆるインフラ的な側面の施策が7つ並びます。SDGsでいえばPeopleとProsperityに関係する「6)安全な水とトイレを世界中に」「11)住み続けられるまちづくりを」に該当する分野です。
施策目標は7つ。
- 都市機能と生活基盤
まちづくりビジョンともっとも関連するところ。 - 公共交通
鉄道利用などを含め、多少不便でも使うという発想への転換が求められています。 - 道路や河川
住民側では防災・減災の取り組みが必要ですね。 - 快適で安全な住環境
空き家対策が重要課題になってきています。二地域居住とか南海地震の際の被災者のための提供とか、留守宅管理システムとか、新しい視点が必要ではないでしょうか。 - 安全な水道水
今後の管理コストが心配です。テクノロジーを利用した管理など可能性を探るべきではないかと思います。 - 生活排水対策
下水道です。上水道と合わせて水循環の視点で施策をまとめた方がいいように思います。 - 里山景観を守り育てる
自然景観や街並み保全、公園や緑地など。守るだけではなく「資産として活かす」施策展開が欠かせない時代ですが、その視点はここでは触れられておらず、後段の産業経済系ということのようです。
あいさつでつなぐ安心して暮らせるまち
防災防犯がテーマです。SDGsではPlanetに関係する「13)気候変動に具体的対策を」に自然災害に対するレジリエンス(強靭性)が触れられています。またPeaceである「16)平和と公正をすべての人に」が暴力対策などに関係します。
施策目標は3つ。
- 防災
地域のつながりが丹波市の特徴です。南海トラフにも触れられていますが、より積極的に広域計画を策定する必要を感じます。 - 消防体制
消防力の向上や救急対応です。 - 交通安全と防犯
これまでの安全対策、防犯対策に加えて、消費者対策も含まれます。ハイテク犯罪への対応と並行して、IoTを利用した安全な交通環境の構築というのも視野に入れたいものです。
美しい自然と環境を大切にする源流のまち
環境保全、低炭素社会とゴミ問題がテーマです。SDGsでは主としてPlanet系の「7)エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「12)つくる責任つかう責任」「13)気候変動に具体的対策を」「14)海の豊かさを守ろう」「15)陸の豊かさも守ろう」が相当します。
施策目標は3つ。
- 環境保全
氷上回廊が育んだ自然環境、里山の保全です。 - 低炭素社会
木の駅プロジェクトなど自然エネルギーの推進。排出権取引のことなど触れてもいいと思いますし、一歩踏み込んでエネルギーの自給自足を目指すとできないか。 - ゴミ分別と循環型社会の構築
ごみの抑制、リサイクル。食品残渣対策やコンポストによる循環などに踏み込めるとよいのですが。
ふるさとに愛着と誇りをもった人づくりのまち
教育や生涯学習、文化芸術、男女共同参画が含まれます。SDGsでは主としてPeopleに関係する「4)質の高い教育をみんなに」「5)ジェンダー平等を実現しよう」「10)人や国の不平等をなくそう」が対応します。
施策目標は5つ。
- 生きる力を育む教育
ICTを利用した教育、いじめ対策、人権教育などが含まれます。 - 生涯を通じた学び
人生100年時代の学び、スポーツ振興、図書館など。重要なテーマです。 - 教育環境
コミュニティスクール、学校給食など。 - 多様性を尊重し合う社会
男女共同参画社会、多文化共生。今後丹波市はますます多様な人が暮らすまちになると思われます。そこに向けて、どのように進んでいくか。 - 文化芸術を守り活かす
文化ホールや文化団体。成松周辺を活かした文化ゾーンとしての取り組みについて触れたいところです。
丹波力を活かした創意ある元気なまち
産業及び移住定住がテーマです。SDGsではProsperityに関係する「8)働きがいも経済成長も」「9)産業と技術革新の基礎をつくろう」が相当します。
施策目標は5つ。
- 商工業と企業の支援
人材の確保や新規起業の促進。 - 環境創造型農業や成長型林業
特産物振興、鳥獣被害対策、担い手確保、森林整備など。有機農業はもっと大きくとりあげてよいテーマではないかと思います。また、家族農業支援の視点も欠かせない。 - おもてなしの観光
丹波市ブランドやDMOなど。いわゆる丹波市というブランドと個別のブランドとは違うものです。その意味での市のブランド戦略は弱いです。 - 恐竜を活かしたまちづくり
にっぽん恐竜協議会、丹波竜化石工房など。別建てになっていますが、恐竜をそこまで出す必要があるかどうかと思ったりはします。 - 移住・定住
関係人口の拡大、シビックプライドなど。市民の誇りは丹波市の歌などが例ですが、やや方向性を間違っているような気がします。
市民が主役の豊かな地域力の向上
協働がテーマでSDGsではPartnershipである「17)パートナーシップで目標を達成しよう」に該当します。
施策目標は1つ。
- 協働のまちづくりの推進
自治基本条例、参画と協働、市民活動支援センター。ここはとても必要な分野ながら、手探りのような感じですね。市民プラザの活用が鍵。オープンデータ化など行政側の仕組みも必要ですが、別に行政系がまとめられているせいか、触れられていません。
将来を見据えた計画的で効率的な行政経営
財政や電子自治体の確立など。SDGsでは「16)平和と公正をすべての人に」に相当します。
こちらも施策目標は1つ。
- 市民ニーズにあった行政運営
財政、統合庁舎、電子自治体など。電子自治体の推進はSociety5.0に向けて不可欠ですが、書き方が甘い。
個別には以上のようなところです。総合的な視点から後期総合計画について思うところについては、稿を改めてまとめます。
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