市民の誇りを~氷上回廊保全条例

丹波市には本州でもっとも低い中央分水界「水分れ」があります。石生の水分れ資料館には海面が上昇した時の日本列島をシミュレーションできる模型があって、水面が100メートル上昇すると、丹波市を中心に南北に海峡ができる様子を目にすることができます。

100メートル、神戸ポートタワーほどの高さで、本州は「氷上海峡」で東西に分断される。これが意味しているのは、本州の中でも、ただ丹波市だけが、高い山脈に遮られず、日本海から太平洋側に通り抜けることができる場所になっているということです。

この通り道は「氷上回廊」と呼ばれています。日本の中で丹波市にしかない特色です。南北を海に接している国はそう多くありませんから、世界的にも稀有といっていいかもしれません。

重要なのは、この地形が、ただ地理的な特徴というだけでなく、南北の生命の交流や人や物資の交流、文化の交流など、丹波市の特色を形作ってきた背景として、物語化することができるという点です。

水系では日本海側を分布域とするヤマメと太平洋側を分布域とするアマゴが混生、森では南国系のリンボクと北国系のエゾエノキなどが混在する、多様な生態系。

低地帯ゆえにゆっくり堆積した豊かな土壌がもたらしたさまざまな農産物。花めぐりなどの観光事業も氷上回廊の恩恵あってこそです。青垣ではパラグライダーが盛んですが、これは氷上回廊を南北に通り抜ける風の魅力がもたらしています。

氷上回廊が、多様な丹波市を育んできたというストーリーを語れるのです。

世界に誇れる資源に魂を入れるために

こうした認識のもと、氷上回廊の重要性と、それに関連して「多様性」「寛容性」が社会づくりのキーワードであることを、これまで折に触れて市長には提言を続けてきました。

最近では、さまざまな施策においてふまえていただけるようになったと感じます。また再来年には、水分れ資料館をリニューアルする「氷上回廊水分れフィールドミュージアム」構想が進んでいます。

とはいえ、まだひとつ足りないなという思いが残ってきました。形ばかり整えても、魂が入っていない、市民が心に誇りを持てる(シビック・プライドとする)ところまでひっぱれないと感じてきたのです。

そこにようやく解を見つけました。それを、この12月議会の一般質問で提案します。

「氷上回廊保全条例」を作ることです。

たとえばあなたが、市外のお客様を案内して「氷上回廊水分れフィールドミュージアム」を訪れたと想像してください。展示を見ながら、「水分れ」や「氷上回廊」の説明をする。それだけでは、単なる解説ですね。

でも、その先に「私たちは条例を作って、この氷上回廊を保全し活用しようとしています」と言えたらどうでしょう。そこまでしている、という自慢話になります。

自慢話。それこそ「シビック・プライド」です。条例が、市民としての誇りのよすがになる。氷上回廊という随一の地域資源に魂を入れる、なによりの手段ではないでしょうか。

そんなことを考えています。

(画像は黒井城=保月城=より、雲海に浮かぶ満月。こんな雲海も氷上回廊がもたらしています。)

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