共同体の基礎理論―自然と人間の基層から―

近代化のなかで「共同体」は解体すべき対象であったという、「まえがき」でも述べられている視座が、本書の確かな土台となっている。 その「共同体」が今、あらためて未来へ向けた可能性として期待されている。この期待を語るとき、ぼくたちは安易に「人間関係(縁)」「思いやり 続き …

20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人

楽しく、かつ刺激的な一冊。 ファッション業界に限らず、およそクリエイティブに関わっている人であれば、インスパイアされる箇所が多いことだろう。 あるものごとの歴史を取り上げるにあたって、人に焦点をあてるアプローチがある。このコーナーでとりあげてきた本の中でなら、 続き …

第三の消費文化論―モダンでもポストモダンでもなく

ポストモダン消費論、というのがあった。 1980年代から盛んに言われるようになった。当時日本でもブームになった記号論など、ポストモダン思想の見方を用いて消費を分析する見方だ。 間々田さんは、ポストモダン的文化の内容について、その特徴を次の3点にまとめている。 続き …

流線形シンドローム―速度と身体の大衆文化誌

こういう切り口があったか。みごとな文化論。 流線形、streamline。今でこそ何気なくつかっているこの言葉の誕生と流行を追っている。副題にあるように、もともとは「速度」に関連した物理用語であったものが、身体性を持ち、政治的な力さえ持つようになった。 嚆矢と 続き …

学校裏サイト―ケータイ無法地帯から子どもを救う方法

ある調査によると、SNSなどのコミュニティサイトを利用したことのない保護者が3割という。しかし、出会い系はもちろん、学校裏サイトにしても、今問題になっているケータイサイトの多くは、コミュニティ系だ。保護者と子どもの間には、ネット利用においておおきな断絶がある。 続き …

テレビ番組事始―創生期のテレビ番組25年史

副題にあるように、テレビ放送が始まってからの25年間に放送された番組をたどった記録。同時代を生きた著者が、現場の様子を丹念に伝えている。 ひとつひとつの番組の裏舞台で行われていた苦労や、有名番組の思わぬ誕生秘話、配役の移り変わりなど、関係者へのインタビューも交 続き …

今、地方で何が起こっているか―崩壊と再生の現場から

朝日新聞紙上での連載をもとにまとめた書籍。 いま、地域を語るときに典型的に語られる二つの町がある。 夕張市と上勝町だ。「崩壊の現場」としての夕張市と、「再生の現場」としての上勝町。 この書籍もまた、ふたつの自治体をつないで語られる。 まずは全体像を振り返ってお 続き …

構造化するウェブ―ウェブの理想型を実現する技術とは

技術の背後には思想がある。岡嶋さんはそこに立脚している。個々の技術について解説する書籍は多くある。それら技術が実現する社会について論じた書籍もある。 しかし、それらの間をつなぐ形で描かれる書籍は少ない。一読をお薦めしたい。 副題で触れられている「ウェブの理想型 続き …

笑いの現場―ひょうきん族前夜からM-1まで

この本を手にとってみようと思ったのは、舞台『悩み多き者よ』を見たからだった。ラサール石井さんプロデュースのその公演は、たまたま人間ドックで同席した中年男3人が、互いが同級生(同い年)だと知ったことから交友を深める様子を描く。 理屈屋がいて、愛人を持つ人がいて、 続き …

イスラームの人間観・世界観―宗教思想の深淵へ

文明の対立、あるいは文明の衝突といわれる。最近では文明の対話とも。端的にはそれは、キリスト文明とイスラム文明の対立、あるいは対話を意味している。 分かりやすい構図だ。キリスト文明とイスラム文明は違う。宗教思想が違う。だから対立する。対話しなくてはいけない。 た 続き …