地方議会が国会より権能が広いわけ

新任議員研修2日目。今日は議会の実際の議事の進め方、議会の規律などについて説明を受けました。

地方議会は日本国憲法93条で「議事機関」として位置づけられています。国会が「立法機関」であるのに対し、地方議会は条例の制定や改廃だけじゃなく、ひろく行財政全般にわたる具体的事務の処理についても意思決定機関としての権能を持つということです。

地方議会にこれだけ広い権能を与えた背景には、地方公共団体が首長及び議会とも直接公選によって選ばれる二元代表制をとっていることがあるでしょうね。地方公共団体の長は、議会の議決を経た上でないと、もろもろの事務を執行できない仕組みになっている。
首長も市民が選ぶ、議員も市民が選ぶ。ではどちらが市民の声?って素朴に疑問に思いますよね。しかし、一人しか選べない首長と違い、議員は丹波市の場合20人を選ぶことができる。それだけ多様な声を反映できるということでもあります。この、一人の声と多様な声をそれぞれに独立させ、対等の立場で並べるというのは、民主主義の見事なアイデアのひとつだと思います。
そう考えると議会は、充分に住民の中に入り、多様な声を聞き、住民の立場に立って議論を尽くし、首長と対峙しなくてはなりません。あらためて、そのことを肝に銘じます。

では、議会はどのように議論を進めていくのでしょう。

大きく言えば、本会議と委員会がその場となります。本会議に議案が上程され、質疑の後、委員会に付託される。委員会はこの議案について審議し、本会議に報告する。本会議ではその報告について質疑、討論の上、表決するという流れです。
丹波市の場合、この委員会は3つあって、20人の議員が分かれて所属します。委員会制度は戦後、アメリカの例にならって採用されたものだそうです。社会経済の進展に伴って行政が多様化すると、本会議のみでは多数の議案を能率的に処理することや、議員がすべてに通じることが困難となる。このような欠陥を補完して、審議の質を高めることを目指して導入されたものです。
そんなわけで、議案に関する実質的な議論は委員会の場が中心になります。だから、本会議の質疑では自分が所属している委員会に付託される議案への質疑は行わない(委員会でできるから)という暗黙のきまりがあったりするそうです。
『議員必携』には、専門化した議論ができるという委員会制度の利点のほかに、専門的になりすぎて大局的判断に欠けたり、執行機関と近くなりすぎて馴れ合ったり執行権を侵害したりする危険性もあるという注意点も書かれていました。これまた、肝に銘じておかなくてはなりません。

3つの委員会のことや、議員としての議会での発言のうち、議案への「質疑」や「討論」のほか、もうひとつ重要な「質問」については、別の機会に触れることにします。

丹波市の本会議・定例会は3月、6月、9月、12月です。下記の写真は、議会の年間スケジュール(今年度終了分)の一部。4回の定例会の会期はそれぞれ30日程度、そのうち本会議が開かれるのは6日程度ですが、それ以外の日も委員会等、けっこう予定が詰まってくるなぁという印象です。

議会スケジュール

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