新型コロナワクチン接種の現状とコロナ禍残された課題

 丹波市の新型コロナウイルス感染症の予防接種、順調に滑り出しました。

 現時点での受付は75歳以上で、対象者は約12,000人。およそ9,000人がすでに予約済です(それ以外に高齢者施設に入所されている約1,000人の方が接種済)。
 現時点で対象者の8割近くの方が接種される予定ということになり、この年齢層に限って言えば、いわゆる「集団免疫」を獲得できるレベルまで見込みが立った形ですね。予約いただいた方に感謝です。

 予約受付当初は電話がつながらないなど混乱もありました。また高齢者が不慣れと考えて電話枠を多くしていたためネット予約枠が早くに埋まり、急遽広げたりもしました。
 結果を見れば、初期のおよそ7割はネット経由。家族に助けてもらってネット予約をされた方々が多かったようですね。地域内で高齢者を支援してネット予約を行う動きも生まれてきて、さすが市民力を実感します。本当にありがたいことです。

予防接種やご予約に関するいくつかの留意点

 5月18日からは接種も始まりました。看護学校体育館での集団接種(写真)。車椅子ルートを別にするなど日々改善を重ね、おかげさまで順調に進んでいるようです。
 心配していた交通手段も、各地域からの臨時バスを利用される方は1台につき2、3名と、ほとんどの方がお車なり公共交通なりでいらしている様子です。

 ただひとつ。接種の受付は、定刻にいらしてください。早く着いた場合は車の中で待機を。密を避けるための工夫、よろしくお願いします。
 また、お薬手帳などをご持参いただいておくと、予診がスムーズです。

 今後、6月1日からは65歳以上の方の予約が始まります。電話で予約される場合は、時間をおいてお電話ください。1人で何回も電話されるために回線がパンクするというのが現状です。
 今回明らかになったように、慌てなくても必ず接種できますので、日をおいて予約していただければと思います。

 あと、最初の接種日の3週間後の同じ曜日が2回目の接種日になります。ご予約の際は3週間後の予定も見越して、ご予約ください。

 ちなみに。

 ワクチンは解凍して利用するので、キャンセルがあった場合は無駄にしないよう、その時に来場可能な方に打つことになります。
 今のところ1日せいぜい1~5回分が余る感じだそうです。なので近くの消防本部や看護学校関係の方、会場の保健師さんたちといった方に接種されています。その他、市の幹部なども対象になります。

 高齢者施設やこども園など福祉関係の施設担当の方も対象にしたいところですが、会場まですぐにいらしていただけないのが難点ですね。かといって、余るか分からないのに来て待っていただくわけにもいかず。
 各医院での個別接種になった段階では、方法も考えられるのですが。

連休明けに増加した丹波地域の感染状況

 さて、丹波地域の感染状況です。

 一時は心配しましたが、少し落ち着きましたね。感染動向は、日々の数字に一喜一憂せず、7日移動平均で見るのがいいです。
 おすすめはNHKの「感染者数まとめサイト」。都道府県をクリックすると、移動平均線が確認できるので助かります。

 新たに緊急事態宣言が発令された沖縄などは急上昇中である一方、大阪や兵庫は移動平均線が頭を垂れてきており、このまま減少してほしいと願っています。
 とはいえ水準はまだ高いですし、医療機関のひっ迫状況をふまえると、緊急事態宣言延長はやむなしかと。

 丹波地域の移動平均線を、兵庫県から公開されている「新型コロナウイルス感染者の発生状況」のデータをもとに描きました。赤の点線が7日移動平均線です。

 陽性者数として現れるのに2週間程度のギャップがあることをふまえると、ゴールデンウイーク中にウイルスが持ち込まれ、感染が広がったのではないかと推測できますね。
 その後減少に転じたのは、それが市中感染に至らず、一部で収まったおかげでしょう。逆に沖縄などは、ゴールデンウィーク期間に持ち込まれたウイルスが濃厚接触者からさらに市中に拡がって急拡大している状況と考えていいのではないでしょうか。

 丹波地域の陽性判明者を、接触経路が分からない方と接触者あるいは濃厚接触者として報告された方の比率で見てみました。

  • 3月10日~4月24日 陽性者71名のうち(濃厚)接触者 49%
  • 4月25日~5月24日 陽性者74名のうち(濃厚)接触者 70%

 ご覧いただいてわかるように、緊急事態宣言が発令された4月25日を境に比較すると、4月25日以降の感染者は、明らかに(濃厚)接触者の比率が上がっています。

 PCR検査対象者の抽出基準が変わった可能性もあるので確かなことは言えませんが、今回の感染拡大の原因の一つと言われる変異株の感染力が強いこと、また家庭内感染が目立っているという現場の観察結果をふまえると、今回の対策の要点は、こうした濃厚接触による感染拡大をいかに防ぐかということになろうかと思います。

今必要な対策は?

 コロナ禍への対策という点では、この半年、丹波市では新たな対策を打てていません。昨年は臨時議会なども開いて対策を打ってきたのですが、今回は無し。
 6月議会に提出される補正予算を待つしかない現状です。

 低所得者層など弱者対策を急げと訴えてきたのですが、心配です。

 丹波市では「福祉まるごと相談」窓口を開いています。
 また社会福祉協議会では、「緊急小口資金・総合支援資金」を準備しています。「緊急小口資金」は緊急的に少額の費用を貸し付ける制度、「総合支援資金」は生活資金を生活再建まで原則3カ月間にわたって貸し付ける制度です。
 お困りになられている方にはぜひこれらの仕組みをご活用いただきたいと思います。

 参考までに、昨年度からの利用推移をご紹介します。

 上記が「緊急小口資金」の利用状況です。
 お分かりになるように、昨年春の緊急事態宣言時、そして今年2月以降の第4波に伴って利用者が増えています。

 総合支援資金はどうでしょうか。

 やはり昨春の緊急事態宣言の影響が見られ、今年に入って年度末の相談件数も多くなっています。
 より心配なのは、オレンジ色で示した延長、赤色で示した再貸付の件数です。高い水準となっており、苦しい方はなかなかその状況を抜け出せない状況であることが推測できます。

 延長まで至った98人を年代別にみると、50歳代31人、40歳代24人と続いていおり、特に子育て世代が苦しいのではないかと推測されます。

 また職種内訳では、建設業21人、サービス業15人、製造業15人と続いています。飲食業については休業補償などが整えられて一息つかれた面がある(それでも12人です)ものと想像しますが、それ以外の業種での影響は解消されていないということでしょう。

 12月議会でもこうしたデータをもとに困っている人にしっかり支援すべきと訴えたのですが、いまだ手が打たれていないことは残念ですし、力不足を申し訳なく思っています。

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