特別交付税は何が特別か? そして自主財源と依存財源の話

 毎年3月も押し迫ってくると、今年の特別交付税はどうなったなんて話題が財務に関心の高い議員の口の端に上ります。

 前回の投稿「基準財政需要額と基準財政収入額-地方交付税はこう決まる-」で、地方交付税には普通交付税と特別交付税があると紹介しました。

 国の交付税財源のうち、6%が特別交付税に充てられるのでしたね。

 普通交付税が4月1日時点の各自治体の数値をもとに7月に決定し、交付は4月、6月、9月、11月(4月と6月は概算払い)にされるのに対し、特別交付税は12月と3月に決まり、即交付されるのでした。

特別交付税は分捕り合戦?

 特別交付税、「トッコー」なんて略したりしますが、言葉そのまま、ぼくにとっては自治体間のプレゼンテーション合戦のイメージがあります。
 というのは、交付に先立つ1月や2月、各自治体の首長(とそれを支える国会議員)にとって、霞が関への「要望」に向かうのが恒例行事。

 今年の場合は、コロナ禍の影響で各首長も上京せず、地元選出の衆院議員とオンラインでつないで要望されていたそうです(「 【谷の活動日記第2469号【“住みたい田舎、続くリモート会議”】」)。
 このオンライン形式、これからもそれでいいのではって思ったりしますが、どうなのでしょう。

 今年の丹波市の獲得額は14億8,127万円。昨年12月に1億8,884万円(総務省「令和2年度特別交付税の12月交付額の決定」)、今年3月に12億9,243万円(総務省「令和2年度特別交付税交付額の決定」)の交付が決定しました。
 平成30年度は16億5,000万円、令和元年度が15億6,000万円。年々減っていく中で、予算段階で14億円と見込んでいたところに、この決定額。頑張ったのではないでしょうか。

 近隣では豊岡市(人口7.8万)の25億円とか養父市(人口2.5万)や朝来市(人口3万)のそれぞれ12億とか目立ちますけれども。

 なお特別交付税は、普通交付税の不交付団体(基準財政収入額が基準財政需要額を上回っている団体)にも交付されます。

特別交付税って何が特別なのか

 特別交付税はその名の通り、「特別な財政需要」に応えて交付されるものです。

 普通交付税は、4月1日時点の各自治体の数値をもとに、先に紹介したように画一的な基準で算定されますよね。
 そこで、この方法では捕捉困難な経費だとか、算定後に起こった災害等の臨時的な経費だとかといった事情を勘案して追加交付することで、地方自治体の財政需要を補完するわけです。

 具体的な対象は「特別交付税に関する省令」に定められています。項目数200はくだらないかな。
 とても追いきれないので、総務省が決定額の発表資料内で主な算定項目として紹介している項目を列記します。

  • 除排雪経費
  • 災害関連経費
  • 地域医療の確保
  • 地域交通の確保
  • 公営企業の経営基盤強化
  • 消防・救急

 幅広いですよね。
 丹波市の場合も、「地域医療の整備」や「農林業基盤の整備」「少子化・子育て支援」「環境保全」「広域行政」「公共交通」などの各種特殊財政事情を訴え、交付を要望しています。

丹波市の地方交付税の構成比は

 ここまで「地方交付税」について、「地方交付税って何? どう算定されてる?-基準財政需要額と基準財政収入額-」から続いて説明をしてきました。

 では地方交付税は、自治体にとってどのくらいの重要性を占めているのでしょうか。

 令和3年度丹波市予算では、普通交付税95億円、特別交付税14億円を見込んでいます。全体の歳入が346億円ですから、構成比は31.5%ということになります。
 自治体によっては構成比がさらに高いところもあるようです。いずれにせよ、不可欠な財源ですね。

 その他の歳入も紹介しておきましょう。

  • 地方交付税 109億円(31.5%)
  • 市税 73億円(21.0%)
  • 国県支出金 64億円(18.5%)
  • 市債 34億円(9.9%)
  • 繰入金 21億円(6.0%)
  • その他 45億円(13.1%)

 国県支出金というのは、国や県から「負担金」や「補助金」ないし「委託費」として支出されるものです。
 負担金というのは、生活保護は国に責任があるから国も費用を負担しますよ、みたいなお金。補助金は、市が主体的に行う事業に対して国や県が何割かを支援しますというもの。委託費は、国として統計情報を集めたいので市に調査事務を委託しますといった性格のものです。

 市債は借金なので、将来返済しなくてはいけないお金。
 繰入金は、市の貯金(基金)を取り崩して収入するもの。
 「その他」には、公共施設の使用料や市の業務に伴う手数料、あるいは広告収入など雑収入が含まれます。

 とすると。

 市が独自に収入したお金、これを「自主財源」と言いますが、これは市税と繰入金、及び「その他」ということになります。
 一方で地方交付税などを「依存財源」と呼称します。

 丹波市の場合、自主財源比率は40.1%。
 これが多いか少ないかというと、けっこうがんばっている方だと思います。

 特別交付税を確保したり、国や県の補助金を取りに行ったりという努力はもちろん大切なのですが、一方で「自由に使えるお金」を増やすには、自主財源をいかに確保するかという努力も欠かせません。

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