電気自動車充電設備など3月議案総解説

 それでは、令和3年3月議会に提案されているその他の議案について一括解説します。

 ここで紹介する以外の議案についてはエントリーを分けて紹介していますので、下記それぞれの解説をご参照ください。

介護保険料はどう決める?
介護現場の現代的課題と条例改正
辺地と辺地債の話
人権擁護委員というおしごと
同じようで違う下水処理施設―及び規則と規程ってどうちがう?―
教育支援センターに研修機能を充実
こども医療費の無料化のために
企業版うるさと納税とふるさと寄附金の現状

議案36号 丹波市火災予防条例の一部改正

 電気自動車の普及が進むなか、搭載される電池容量も増加傾向です。となると充電設備も、急速充電ができるよう全出力50キロワットを超えるものが多くなりそうです。

 そこで「対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令」が改正されます。概要は「対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令の一部を改正する省令(案)について」をご参照ください。

 これに伴い、市の条例も変更するものです。設置できる上限が200キロワットまで拡大される一方、50キロワットを超える設備については消防長に届ける義務が課されます。

議案22号 丹波市立氷上勤労青少年ホーム条例を廃止
議案23号 丹波市立住民センター条例の一部改正

 氷上勤労青少年ホームを廃止し、建物はそのままで氷上住民センターの別館として管理していくことになりました。そのために、まずは当該施設の設置管理条例を廃止、並行して住民センター条例に当該施設の使用料規定を加えるものです。

 勤労青少年って、なんだか大時代な言葉ですね。

 この「勤労青少年ホーム」というのは、勤労青少年福祉法第15条の規定に基づき、地方公共団体の努力義務として設置されたもので、一時は全国で500以上設置されていたそうです。
 でも21世紀に入って厚生労働省からの補助金が廃止され、さらに平成27年には勤労青少年福祉法も「青少年の雇用の促進等に関する法律」に改称、位置づけそのものが無くなりました。

 法律が制定された昭和45年当時は、はたらく若い人たちの余暇の場が求められたのでしょうね。それが今では雇用が問題に。勤労青少年ホームも、若者ではなく高齢者の利用がほとんどとなっていました。時代を感じます。

議案31号 丹波市立市島農村環境改善センター条例の廃止

 市島支所の隣にある農村環境改善センターですが、建物も築後40年を経過し、老朽化に伴い利用が困難な状況です。近く撤去されます。

 これもまた時代を感じますね。

 「農村環境改善センター」は、1978年から始まった「新農業構造改善事業 (新農構)」によって建設されたもののようです。
 この「新農構」というのは、それまでの構造改善事業が農業生産の基盤整備や生産施設の建設に重点を置いていたのに対し、地域生活施設の整備として研修や休養、健康管理まで幅広くメニューがあったそうです(「農村における地域生活施設の整備制度と現代的課題」富樫穎による)。

議案32号 丹波市立生郷交流会館の廃止
議案33号 丹波市立交流施設条例の一部改正

 同会館を地元の自治振興会に無償譲渡することに伴うものです。

議案25号 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理

 新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正され、その附則で定義されていた新型コロナウイルス感染症が削除されました。期限の定めなく対応できるよう、指定感染症から新型インフルエンザ等感染症に含まれることになったのでしたね(「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の改正について」参照)。

 丹波市の条例でこの附則を引用して新型コロナウイルス感染症を定義していたものについて、新たに記述を追加するものです。
 ちなみに定義は「病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症」です。これを丹波市の関連条例に書き込みます。

議案17号 交通系ICカードICOCA購入変更契約の締結

 何度か紹介している、2,000万円以上の契約は議決が必要との条例に基づいた提案です。
 皆さんのもとにICOCAカード、届いたと思います。これ、9月の議会で議決していたものですね。詳細は「電子マネーは物品か?論争」でご紹介した通り。

 このほど配布が完了し、枚数が25,995枚と予定より305枚減ったため、契約額も61万円減額し、5,199万円となったために提案されるものです。

議案21号 補助金不正受給事案に係る和解

前山地区の補助金の不正受給事案に関し、その返還額の和解案が整ったので、提案されるものです。訴えや和解については、地方自治法96条が定める議会の議決事項に含まれています。

議案35号 丹波市住生活基本計画審議会条例の制定

 全国規模の「住生活基本計画」が令和2年度に、兵庫県の住生活基本計画が令和3年度に見直しが行われます。これに伴い、平成28年3月に策定した「丹波市住生活基本計画」も見直しを行うため、審議会が制定されます。

 なお、新しい委員さんですので、「丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例」にこの委員さんを追記しなくてはなりません。こういう場合、別途改正条例を出すのではなく、この制定条例の附則で、当該条例の改正も提案されます。

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