普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓

徹底調査。223世帯に対して、自分の家のおせち料理とクリスマス料理をレポートしてもらう、しかも嘘をつけないように、写真とともに。 そこから見えたのは「破滅する日本の食卓」だと、岩村暢子さんは言う。 着眼点の良い調査だ。どちらも家族で過ごすものという通念があるふ 続き …

帝国の条件―自由を育む秩序の原理

橋本努さんの著作を取り上げるのは「自由に生きるとはどういうことか―戦後日本社会論」に次いで2度目だ。あのときぼくは、「本書で9.11やセカイ系について述べていないのはあえてそうしたのかな」と述べたのだが、本書ではまさに「9.11以降」がテーマ。なるほど、そうい 続き …

新「地域」ブランド戦略―合併後の市町村の取り組み

ほんの数年前まで全国に3200あった市町村の数は、2007年4月に1800あまりになった。2005年から2006年にかけて相次いだ市町村合併。いわゆる平成の大合併によるもの。 その背景には、地方交付税の取り扱いの変更による、財政的危機を乗り切ろうとする論理があ 続き …

過剰と破壊の経済学―「ムーアの法則」で何が変わるのか?

半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる、というのがムーアの法則だ。1965年の雑誌記事内でゴードン・ムーアが述べた見解がもとになっている。 実際に計算量あたりのコストは、1960年頃からの20年間で1億分の1、ということは18ヶ月で半分という法則どおりに推移して 続き …

わたしたち消費―カーニヴァル化する社会の巨大ビジネス

副題にある「カーニヴァル化」というのは、鈴木謙介さんが前著『カーニヴァル化する社会』で指摘した、現代の若者は「瞬間的な盛り上がり(カーニヴァル)」に生きているとする議論をふまえている。 カーニヴァルにはサイクルがある。 なんかネタはないかなあと探す「模索期」、 続き …

アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所

なんというのだろう、愛すべき本だ。いいよぉって、薦めたくなるような。 9つのアメリカの都市、そこにおけるコミュニティが紹介されている。どのレポートからも、アメリカの大気と人々の息遣いが感じられる。「物語」を重視して選んだという渡辺靖さんの視点のゆえだろう。 国 続き …

噂の拡がり方―ネットワーク科学で世界を読み解く

この十年で急速に進歩した分野といえば、先に紹介したゲーム理論もそうだけれど、ネットワーク科学もそう。 本書の特徴は、具体的な社会現象を取り上げつつ、ネットワーク科学を紹介しているところにある。「世界を読み解く」とはそうした姿勢を表している。 ネットワーク科学を 続き …

ゲーム理論で読み解く現代日本―失われゆく社会性

鈴木正仁さんは、現代の日本社会を、高度成長期の「農村型社会から都市型社会へ」から、バブル期までの「都市型社会から高度都市型社会へ」を経て、現代に続く「格差型社会へ」という流れにあるととらえている。 その上で、社会現象を「意味性」と「社会性」を備えた人間行為の集 続き …

<海賊版>の思想―18世紀英国の永久コピーライト闘争

そう、知的財産権というと今この時代のテーマであるけれど、それは18世紀にも闘争になっていた、古いテーマだったのだ。 山田奨治さんは、18世紀に行われた「永久コピーライト闘争」をじっくりと追う。そこに見られるのは、現代に起こってもまったく不思議ではない、既得権益 続き …

「元気村」はこう創る―実践・地域情報化戦略

これが本題になっていてもおかしくない。そういう副題である。 むしろ普通なら「実践・地域情報化戦略―「元気村」はこう創る」ではないか。この、あえて副題的な一文をタイトルにした姿勢に、本書のネライを深読みすることができるかもしれない。 そこに読み取れるのは、熱い思 続き …