12月議会11億の補正予算

12月議会では「12月議会が始まります」でご紹介した議案以外に、予算関連の補正議案が上程されています。増減を通算して約11億円増(年間予算は約400億円)です。

歳入については、災害復旧関連で補助率を変更して当事者負担を減らした分、約1億4,500万円の減収、また基金からの繰り入れを3,500万円分減らしています。一方で、国から2億6,000万円、県から1億円、その他で7,500万円の収入増。足らずの約8億5,000万円を市債(借金する)という形です。

借金が悪いわけではなく、借金の返済額の何割かを国が負担する仕組みになっていますので、その補助率(国が負担する仕組みによって違う)も確認項目になります。

支出については、10億円が小学校の空調関連なので、残るところでは職員給与改定に伴う約5,000万円の増加が大きいです。

給与以外の主な内容を以下に紹介します。推測表現が多いですが、あらかじめ配布された予算表には事業名と数字しか無いためです。今回の記述は、それをもとに議会運営委員会での事前説明や常任委員会での事業説明を足し合わせて記しています。

提案は6日の本会議です。詳細はその際の補足説明やその後の質疑を通して明らかにすることになります。現時点での推測が間違っているかもしれない旨、あらかじめご了承ください。

行政組織が再編されます

再来年の4月、丹波市の行政組織の再編が予定されています。それに先立って、健康医療センター「ミルネ」が開設される7月に移動等を行う計画です。主な内容は次の通り。

  1. 健康部(現在は氷上保健センター内)をミルネに移転
  2. 福祉部(現在は春日庁舎)を氷上保健センターに移転
  3. 水道部(現在は柏原庁舎)を春日庁舎に移転
  4. 教育委員会の子育て支援部門を福祉部に編入

なお、4月には健康部と福祉部、水道部と下水道事業が統合される予定です。

関連予算として、計画策定と備品購入のために「組織再編等施設整備事業約800万円が予算化されています。ただし、そのうちの400万円は、来年度以降に支出予定として「繰越明許費」にあげられています。

計画策定は今年度内に行うとしても、備品購入などは来年7月の移動時でしょう。一体的な事業ですので、来年度予算であらためて備品費だけ予算化するのではなく、、一括して今回の補正予算で計上するってことでしょうね。

来年度に繰り越される事業は何か

このように繰越明許費というのは、今年度予算にあげるのですが、実際の支出は来年度に繰り越すものを言います。前述の組織再編以外は次のようなものがあります。

  • U・Iターン推進事業 500万円
    予算では500万円減額もありますので、当初予算からすれば今年度予定が1,000万円分減って、うち500万円は来年度支出予定になったことになります。工事請負費での減額ですので、定住促進住宅の改修関連でしょうね。2棟予定されていたうち1棟は適当な物件が見つからず、1棟は見つかったが来年度改修ということかなと。
  • 未来都市創造事業 1,744万円
    当初今年度内に完成する予定だった将来の「まちづくりビジョン」ですが、今年度内は市民説明会までとし、来年度にパブリックコメント、来年度前半で完成という予定に変更されました。それに伴う繰越かと思います。
  • 小学校施設整備事業 2,150万円
    黒井小学校の改修費ですが、今年度の国の補正予算で認められたので、今回補正予算として上程されました。ただし工事は来年度になるのでそのまま繰り越されます。
  • 小学校空調整備事業 10億2,300万円
    空調工事も、上記と同じ理由で今回補正予算、そのまま繰り越しです。今回11億円という補正額の多くはこれです。
  • 氷上回廊水分れフィールドミュージアム事業 648万円
    実施設計予算が補正であげられていますが、支出は来年度ということでそのまま繰り越しです。
  • 戸籍住民基本台帳事業 2,125万円
    補正で約300万円の追加があがっていますので、契約を詰める段階で、なんらかの事情があって予算オーバーと納期の延期となったものでしょう。
  • 担い手農業者災害復旧支援事業 6,700万円
    補助金不正受給事件に伴い止めていた市島町前山地域の災害復旧工事を市からの直接発注として実施するもので、今回の補正予算にあげられ、来年度に繰り越されます。
  • 情報システム管理事業 1,988万円
    ちょっと推測つきません。
  • ミルネ整備事業 7,200万円
    7月までの残された整備部分なのでしょうが、具体的内容は推測つきません。

繰越明許補正は以上です。

来年度以降に実施予定の契約について

一方、契約は今年度に行うものの、支出は来年度以降あるいは複数年度にわたるものは、「債務負担行為」としてあげられます。補正にあるのは次の内容です。

  • 複数年の委託契約関係
    議会の会議録検索システム業務(2年間、データ変換量に応じた金額)、庁舎間の連絡便運行(3年間で1,952万円)、地域福祉計画策定支援(2年間599万円)、氷上回廊水分れフィールドミュージアム展示の設計製作(2年間1,430万円)
  • 市民プラザ関連(ゆめタウン2階に開設予定です)
    賃貸借保証金(4,883万円)、貸借料(8年間6,675万円)と運営委託料(2年間2,400万円)
  • 来年度の事業
    戦没者追悼式開催(125万円)、美術館の春展示(299万円)、青垣給食センター機器購入(8,455万円)

これらについては、認めると今年度内に契約が完了しますので、予算執行を認めたと同様のことになります。債務負担の段階で、金額の妥当性など予算審議と同じレベルのチェックをすべきですね。

支出が増えた項目は何か?

その他の増加で目立つものを記します。

  • 社会福祉費 7,700万円
    多くは実績に基づく増加です。「精神障害者医療費助成(300万円)」「地域生活支援(360万円)」「補装具費支給(150万円)」「障害福祉サービス等給付(2,000万円)」「こども発達支援センター運営(150万円)」「障害児通所支援(730万円)」「老人福祉総務費(1,700万円)」「介護保険への繰り出し(400万円)」など。個別については勉強不足なので、現時点で内容の妥当性は判断できません。なお印のものについては、半額は国庫からの負担、残りのうちの半分は県からの負担があります。
  • 児童福祉費 7,915万円
    こちらも多くは実績に基づく補正。「児童扶養手当(250万円減、システム変更費が安くて済んだようです)」「こども医療費助成(740万円)」「柏原保育所運営(410万円)」「幼保一元化(2,438万円減、認定こども園いくさとの施設整備費補助金が減りました)」「幼児教育・保育推進(9,543万円、施設型給付費が増えました)」など。
  • 農業被害の災害復旧関連 1億1,200万円
    このうち6,700万円は先の繰越明許で説明したもの。それ以外は、今年の夏の災害の査定が終わったことから予算化されるものと思います。これらについては、歳入の方で、県からの補助や市債が充てられています。

社会福祉費のところで記したように、財源は何かも並行して見なくてはなりません。

減ったから良いというものではない

一方、減額では、以下のものが大きいです。

  • 国庫交付金等道路整備事業 1億1,000万円
  • 農林水産業施設災害復旧費 1億4,000万円

これらについては、内容を確認します。
また、以下の項目も減っています。

  • 農業振興費 700万円
    丹波大納言小豆ブランド推進事業補助金で300万円、アジサイによるまちづくり協働事業補助金で400万円。理由は未確認です。
  • 地籍調査事業 1,150万円
    事業が進まなかったのかな? 未確認です。
  • 観光振興事業 400万円
    地域おこし協力隊への助成金200万円減、謝礼金でも200万円減。理由は未確認です。
  • 土木総務費 700万円
    設計管理委託料で減っています。何の分だったかな?

減額については、支出が減って良かったねという単純な考えではだめです。

支出が減っているということは、その分必要な市民サービスが実施できなかった可能性があります。また、そもそもの予算段階での見込みが甘かった可能性もあります。従って、減ったら減ったで、その理由と妥当性をチェックする必要があります。

意図ある質疑をするために

ということで、補正予算、以上は「一般会計」と呼ばれるものの中身でした。

これ以外に、国民健康保険や介護保険、農業共済や看護専門学校、水道事業などは「特別会計」といって別建てになっています。ただ、今回の補正では、人件費関連が主なものなので、ここでは割愛させていただきます。

ところで、議案及び補正予算とも、5日に議会へ提案された後、10日までに資料請求すれば関連資料が準備されます。17日に本会議で質疑(事前通告=当局が準備=可能)、その後、常任委員会での質疑ができます。そうした場で疑問点等は解消し、指摘事項があれば指摘していくことになります。

丹新会としては、「これは何ですか」「どういう内容ですか」的な質問は、資料請求や17日の質疑段階で終わらせ、その後の常任委員会では、問題点の指摘や改善提案につながる「意図ある質疑」ができるよう、会派で研究します。

気になる議案、予算がある方は、ぜひ議会の傍聴にいらっしゃるか、インターネット中継でご覧ください。

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